東京に戻った。
寮の自分の部屋は、静かで、1人だ。
スマホのイヤホンを東京の部屋に置いていったことにさっき気づいた。バックに入れ忘れてたや。
東京では毎日のようにイヤホンして音楽聴いてたのに、北海道では使わなかったんだな。探しもしてなかった。
帰省した1週間。振り返れば、音楽を聴こうと思わず過ごしてた。
車に乗れるってことは誰かが運転してるってことだものね。
しかも家にいる間は家族がいるし。
空港まで友達が見送りもしてくれたし。
電車も風景を見たがったもんなあ。
外に出ればいつも聞けない鳴き声や音にあふれていて。
いつも誰かが近くにいたな。
誰かが一緒にいてくれたから、耳を塞ぐ必要がなかったんだ。音楽のなかに入っていくことも、声を出して歌うこともなかったんだな。
そんなことに気づかぬまま、帰ってすぐにサンボマスターを流してた。
1人の部屋では熱い歌声が響かないと静けさに押しつぶされるのかしら。
いつのまにか、無音に耐えられなくなっている自分がいる。